1期間で 倍か 倍になる株を最初 円分持っていて、 1 期間経過後に株価が上がった場合は上がった分だけ売却し、下がった場合は株を買い増して、次の期間の初めには株資産が常に になるように 売買した時の、 期間経過後の株価の分布を求める。尚、株が下がった場合に買い増すための資金は十分にあるとする。
最初円分の株を持っているので 、1期間後に株価が 倍( )になると、資産は になる。この値に を 「 引いて足す」という操作を しても同じなので、株が上がった場合の資産は、
となる。株が倍に下がった場合には、資産は になり、
となる。以下、下の図のような値動きとなる。
1期間目で株が上がった場合、 の利益が出るので、これを換金して 、現金資産と株資産 に分けて持っておく。 2 期間目も上がればさらにの利益が出る。以下繰り返し。
1期間目で株が下がった場合、 の損失が出るので、資金を足して株を買い増し(だけ穴埋め)、株資産を とする。 2 期間目も下がればさらにの損失が出る。以下繰り返し。
1期間目で株が上がり、 2 期間目で下がった場合、または 1 期間目で株が下がり、 2 期間目で上がった場合は、の利益。以下繰り返し。
いずれにしても全資産は上の図の中の式のように変動していく。
結局、期間後の全資産は 期間中の株価が上昇した期間数にだけ依存し、これは 1-2節で検討した内容と同じである。 1-2節 の結果は、
であった。すなわち求める分布は正規分布であり、、 、 、を代入して、
となる。これが求める分布である。
、 、 の場合に、この正規分布を前節 の の場合と比較したグラフが下記である。 横軸は 当初の全資産を 0 として 合わせている。 両者はほぼ一致し、少なくとも実用上はこう考えて差し支えな さそうである 。
この正規分布の平均(=中央値、最頻値) は、計算すると 1.0490 となり、 1 からのずれ0.0490 は前章のグラフで平均、中央、最頻値 が で収束する値と概ね一致する。この「極限の正規分布」は、中央、最頻値を最大化するので安心感がある。さらに 1 年間で平均 約 5% の利益は悪くない。 この時分布の標準偏差は 0.313 、勝率(グラフが 軸より右側にある部分の面積)は 0.562 である。
は単調増加なので、分布の平均は が大きいほど大きくなる。ただし、 が大きくなれば分布の広がりも大きくなる。
、 のとき、 の場合について分布のグラフは下記のとおりである。が増えると山のピークはわずかに右に移動するが、 分布は大きく広がってしまう。