2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

3-7 極限の正規分布の分散とポートフォリオ

分散を広げないためには、の大きい株は少量、小さい株は多く持ち、さらに値動きの異なる複数の株を持ってポートフォリオを構築すればよい。「極限の正規分布」について、1-4、1-5節と同様に、複数の資産で分散を合わせてポートフォリオを作ることを考…

3-6 .極限の分布

1期間で 倍か 倍になる株を最初 円分持っていて、 1 期間経過後に株価が上がった場合は上がった分だけ売却し、下がった場合は株を買い増して、次の期間の初めには株資産が常に になるように 売買した時の、 期間経過後の株価の分布を求める。尚、株が下がっ…

3-5 分散を同程度に合わせる

全資産の定率を毎回賭ける投資を繰り返すとき、当初1000 円の資金の 25% を毎回投資することを繰り返すのと、 50% を毎回投資するのでは、 50% の方が変動が激しくなるのは当然である。では、当初 1000 円の資金の 25% を毎回投資するのと、当初 500 円の資…

3-4 代表値を最大化する 各分布の評価

確率1/2 で 倍か 倍になる株に、資産の定率 を賭けることを繰り返した場合、分布の 平均値は が大きいほど大きくなる 中央値は =0.5のとき最大になる 最頻値は =0.17のときに最大となる ということを見てきた。下のグラフは、、 、 で を 0 から 1 まで変化…

3-3 .最頻値の最大化

今の仮定の下で、賭け(株式投資)の成長率を最大化するのは毎回資産の1/2 を賭け続けることであることはわかった。そして、資産の成長率を最大化する (ケリー基準)は、その資産の確率分布の中央値を最大化するものであることはすでに述べた。 では、確率…

3-2 𝑟倍か 1/𝑟倍

ここからは、第1章でも採用した、「株価が上がるか下がるかは五分五分、上がるときは 倍、下がるときは 倍になる(変動率は同じ)」という中立の仮定、 , (ただし ) という仮定を再度導入する。すなわち、株式投資を、 「賭け金が 1/2 の確率で 倍になり、 …

3-1.二項モデルと 対数期待値最大化 の関係

第1章で述べた二項モデルと対数期待値最大化の関係について考える。 「確率で資金が 倍、確率 で 倍」になる賭けに毎回全資産の比率 を賭け続ける場合に、対数期待値を最大化する は、2-3節の式から、 を解いて、 である。一方で、資金が 倍になる賭けに…

第3章 最適投資方法の検討

第1章で株価変動のモデル化、 第2章で対数期待値の最大化について述べたが、第3章では 第1章の株価変動を前提として、 資産の定率を賭け続ける場合 に 、最適な方法を検討する。 -目次へ-

2-4.勝率に対する感度

賭け(2) で毎回全資産の 0.4 を 賭ける ことが最大の成長率をもたらすことはすでに述べた。賭け(2)は、確率 0.6 で賭け金が 1.5 倍になり、確率 0.4 で賭け金が半分になる、すなわち、 であるが、ここで、勝率 を 0.58 から 0.02 ずつ0.64まで増加( は …

2- 3 .期待値はプラスであること

なお、成長率を1 より大きくするためには、賭けの期待値 (対数期待値ではなく通常の期待値)は必ずプラス(賭け金 1 単位当たり期待値が 1 より大きい)でなければならない。 これを示す。 今考えているのは 「確率で賭け金が 倍、で 倍、…で 倍()」 とい…

2- 2 定率を賭ける(ケリー基準)-1 最大化の例

定率賭けによる対数期待値を最大化の例 先述の賭け(1)(2)を、全資産の定率を賭ける方法で考え直してみる。 賭け(1):確率 0.6 で賭け金が 1.1 倍にな り、確率 0.4 で賭け金が 0. 9 倍になる賭け(2):確率 0.6 で賭け金が 1.5 倍になり、確率 0.4 で…

2- 2 定率を賭ける(ケリー基準)

実は、賭け(2)が期待値で(1)を上回るにもかかわらず成長率が負になってしまうのは、「資産の全額を繰り返し賭ける」という点が原因になっている。 より効率の良い方法の一つとして、 資産の全額ではなく、 毎回資産の一定比率を賭けることを考える。 全…

2-1.対数期待値の最大化-1 対数期待値最大化の例

対数期待値最大化の例 具体的な例を考える。 確率0.6 で賭け金が 1.1 倍になり、確率 0.4 で賭け金が 0. 9 倍になる賭け(1) と確率0.6 で賭け金が 1.5 倍になり、確率 0.4 で賭け金が半分になる賭け(2) があったとする。所持金全額を何度も賭けることを…

2-1.対数期待値の最大化

最初の資産が、 1 期間後に 倍、( のこともある)になるような投資があったとする。 は毎回異なるが、 がとりうる値とそれが起きる確率は決まっているとする。は「ある確率で元金が *倍になる」という性質のものなら何でもいい。たとえば1/2の確率で資金が2…

1-8定率モデルの 実際の株価への適用

対数正規分布の株価モデルを実際の株に適用することを考える。これまでと同様、 初期値 、1 日の変化率 の株の 日後の株価は に従うと考える 。この分布を決定するためには、過去の株価の値から を決めなければならないが、実際の株価は毎日定率で変化するこ…

1-7.𝑢倍か 𝑑倍の確率分布の連続化-3 期間のn分割

期間の𝑛分割 ここまで、期間は 1 日を単位として考えてきたが、株価は毎日同じ比率で動くわけではない。単位の取り方も、月足、日足、時間足、分足とどのようにも考えることができる 。 1 つの同じ株価の動きをそれぞれの単位で見たときに、各単位に対応する…

1-7.𝑢倍か 𝑑倍の確率分布の連続化-2 分布の評価

𝑢倍か 𝑑倍の連続分布の評価 すでに求めたとおり、「連続化した倍か 倍の確率分布 」は対数正規分布 になる。この対数正規分布の平均、分散 を先に挙げた公式から計算すると、 となる。またこの対数正規分布の中央値は、 最頻値は、 である。 この分布を決定…