賭け(2) で毎回全資産の 0.4 を 賭ける ことが最大の成長率をもたらすことはすでに述べた。賭け(2)は、確率 0.6 で賭け金が 1.5 倍になり、確率 0.4 で賭け金が半分になる、すなわち、 であるが、ここで、勝率 を 0.58 から 0.02 ずつ0.64まで増加( は 0.42 から 0.02 ずつ減少)させた場合に、 と成長率の関係がどう変化するかを示したのが下のグラフである。横軸はの値、縦軸は成長率である。
このグラフを見ると、勝率がわずかに変化すると、最大成長率を与える𝑥はかなり変わることがわかる。 が 0.58 から 0.64 まで変わると、最大成長率を与える (曲線が極大になる)は 0.3 から 0.5 くらいまで大きく変化する。この点が、ケリー基準を株式投資に応用する際の難点の一つと考える。ルールの決まったゲームと異なり、毎回の株式投資において厳密に安定した勝率で勝負を続けることは困難であろう。