1-4.の例で、分散投資した場合に各株資産の分散を合わせる方法はわかった。この時、各資産の分散は
で同じ値になる。では、各資産を合計したポートフォリオの分散はどうなるだろうか。
複数の株を組み合わせた全体の値動きは、各株が同時に値上がりするか、バラバラに動くかによって変わる 。
まず2 資産の場合について考えると 、 一般に次のことが成り立つ ことが知られている 。
2つの確率変数、があったとき、の分散は、
となる。ただし、はとの共分散。
となる。ただし、はとの共分散。
共分散は直感的にわかりにくい統計値であるが、との相関係数から考えると直観しやすい 。一方の株が上昇するとき、他方も同じ程度上昇すれば相関係数 1 、一方の上昇下落に全く関係なく上昇下落する場合は相関係数 0 、一方が上昇するとき同程度に他方が下落すれば相関係数-1 である。相関係数 を ()、、の標準偏差を、とすると、 定義上、相関係数 と共分散には 、
の関係がある、よって、
の関係がある、よって、
と書ける。仮にとが無相関( )であれば
であり、完全相関()であれば
である。3 つ以上の資産がある場合も、を新しい確率変数とし 、3 つ目の確率変数 に対して同じ方法を繰り返せばよいから、結局、分散 の個の資産を合計した資産の分散 は、
各資産が資産が無相関であれば、
完全相関であれば、
となる。今の場合、各資産の標準偏差が同じ値になるように資産配分することを考えているので、合計資産の分散は、各資産が無相関であれば
完全相関であれば
となる。
完全相関は、一方の株が上昇/下落すれば、それに完全に比例して他方も上昇 下落する場合のことである。ある株に完全相関する株や無相関の株は実際にはなかなか見つからないが、「 XX ショック 」のような大きな事件があった際には ほとんどの株が下落したりすることを考えれば、 株式相場全体では各株価は正の相関をもって動いていると考えられるので、実際に複数株でポ ートフォリオを組んだ場合、各株資産の相関は、 大雑把には 完全相関と無相関の間のどこかにあると考える 。完全相関に対する無相関の分散の比は、なので、資産を種類の株に分散投資すれば、ポートフォリオの分散は各株が無相関の時最大で 、標準偏差は になる。 これが分散投資の効果である。下の表は 1 から 6 までのの値についての の値である。
各株が無相関の場合、4 資産に分散すれば、ポートフォリオの分布の広がり(標準偏差)は半分になる。
完全相関は、一方の株が上昇/下落すれば、それに完全に比例して他方も上昇 下落する場合のことである。ある株に完全相関する株や無相関の株は実際にはなかなか見つからないが、「 XX ショック 」のような大きな事件があった際には ほとんどの株が下落したりすることを考えれば、 株式相場全体では各株価は正の相関をもって動いていると考えられるので、実際に複数株でポ ートフォリオを組んだ場合、各株資産の相関は、 大雑把には 完全相関と無相関の間のどこかにあると考える 。完全相関に対する無相関の分散の比は、なので、資産を種類の株に分散投資すれば、ポートフォリオの分散は各株が無相関の時最大で 、標準偏差は になる。 これが分散投資の効果である。下の表は 1 から 6 までのの値についての の値である。
各株が無相関の場合、4 資産に分散すれば、ポートフォリオの分布の広がり(標準偏差)は半分になる。
分散する株数 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
標準偏差(倍) |
1 |
0.707 |
0.577 |
0.5 |
0.447 |
0.408 |