1- 6 .株価の(定率的)二項モデル

ここまで、「株価が、 1 期間で確率 𝑝𝑢円上がり、確率 𝑞=1−𝑝𝑑円下がる」という前提を出発点に株価をモデル化し、𝑛期間後の株価がどうなるか、を考えてきた。この「 1 期間で一定額上がるか下がる」という前提は 、短期間、株価変動の小さい間は有効であるが、長期の場合や株価変動が激しい場合は実態をうまく表さない。

1000円の株が 1 日に 10 円上がるか下がるか、とい う仮定は、株価が 1000円に近い場合は現実的だが、時間がたって株価が 100 円まで下がったときに、100 円から 10 円上がること(10/100=10% の上昇)と、株価が 5000 円まで上がったときにそこから 5010 円に上がること(10/5000=0.2% の上昇) を同じに考えるのは妥当でない。また 株価はマイナスになることはできないので、 1 期間で同じ金額だけ上昇 下落する、という仮定は株価がゼロに近づくほど現実的ではなくなる。この不都合を回避するために、より現実的な仮定として、「定額」ではなく「定率」での株価変動を仮定する。すなわち、「 1 期間で同じ比率で株価が上下する」ということである。1000 円の株が 1 日に 10 円上がる(1010/1000 1.01倍)ことは 、その株が 100 円まで下がったときは 1 日に100×1.01=101 円まで上がることと同等、5000 円に上がったときは 1 日に 50 円上がる ことと同等 、と考える。

 

ここからは、「株価が、1 期間で確率 𝑝𝑢倍 (𝑢円上昇ではなく 𝑢倍) になり、確率 𝑞=1−𝑝𝑑倍になる(ただし 0\lt𝑑\lt1\lt𝑢)」という前提で、株価のモデル化を考える。

 

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