ここまで、一種類の株価の変動を考えてきたが、実際の投資ではリスクを減らすために複数銘柄に分散投資するのがよいとされる。
との異なる複数の株を所有するとき、それぞれの株資産の分散を同じにするためには、何株ずつ 持てばよいか、という問題を考える。
, という仮定 は 引き続き行い、 初期値、 1日の変化量の 種類の株があるとすると、各株資産を1株持った場合の 日後の株価はそれぞれ 正規分布、
に従う。ここで、正規分布 には次の性質がある。
となる。各資産の分散は である。これを同じ値(とする) に合わせるためには
であればよい。すなわち、各に反比例した量の株を買えばよい ことがわかる。 が 2倍ならは半分である。 1日の動きが 2倍の株は半分持てばよい、というのは直感的にも理解できる。
では、実践的な問題として、最初に総資産があり、これで種類の株を買う場合、それぞれの株を何株買ったら、各株の資産変動に対する影響が同じになるか、を考える。初期総資産はだから、
この式に上記𝑎_𝑖の値を代入して変形すると、
だから 、
となり、各の値がと各,から求められた。
仮に、先述の実際の株で、 (2019/12/ 30 の終値)、(1-20日前との株価の差か ら求めたの平均)とし、別に「1日後に1/2の確率で10円上がるか10円下がる1000円の株」があったとする(、)。初期資産100万円があったとして、株価変動に与える両者の寄与が同じになるように割り振るには、1番目の株を
1日後に1/2 の確率で 10 円上がるか 10 円下がる 1000 円の株を
買えばよい。
この時、最初の株の初期資産は 392,361 円、 1000円の株の初期資産は 607,638円とな
る。(無論実際には単元株以下の株は買えないので、近似値で買うことになる。)