1期間で 株価が 倍か 倍になる場合 の 期間経過後の 株価の 確率分布、平均、分散を求める。
初期値で 倍になり、確率 で 倍になるとする。
株価の時間発展を 3 期間後まで書くと下図のようになる。 は期間、 は 期間のうち上昇した回数(下落は 回)である。
この(離散)確率分布について考える。
のときを例にとると、 が起きる確率は二項分布する。 二項分布だから、一般に期間 では 確率は、
である。一方株価は二項分布の0 ,1,2,3 ではなく で、 と な る。 一般には
である。とりうる値 (軸) と確率( 軸) がわかったので 分布はこれで決定した。 この確率分布は、二項分布 の 軸上の値が 0,1,2,3,...,の代わりに としたものである。
次にこの分布の期待値を計算する。期待値 𝑚 は 、確率 と値を かけ て足し合わせればよいから、
である。シグマの部分は の二項展開*1になっているので、結局平均は
になる。であれば、 とともに期待値は指数関数で増えていく。
次に分散を求める。一般に確率変数の分散 は、 の期待値を として、
で求められる。 で計算済みだから、 を計算する。 の一般項は なので、
期待値の場合と同様に、最右辺のシグマの部分は の二項展開なので、
となり、結局分散は
となる。
下のグラフは、「1000 円の株が 1 期間後に 1/2 の確率で 10 円上がるか 10 円下がる」場合と、「 1.01 倍になるか 1/1.01 =0.99099 倍になる」場合の、 5 期間後と 100 期間後の株価の分布である。 期間が大きくなるほど、定額と定率のずれが大きくなる。 なおどちらの場合も、横軸が 1000 のときに分布は最大値( 中央値)となる。
*1:二項展開: