二項分布(コイン投げ)
ここからしばらくは、株価の値動きは毎日一定額上がるか下がるかのどちらかで、上がるか下がるかの確率は毎回同じとして考える。このようなモデルを二項モデルという。
株価の値動きが1日後に確率1/2で同じ額だけ上がるか下がるか、だとすると、値動きはコイン投げと同じように考えることができる。
1000円の株が1日後に1/2の確率で10円上がるか10円下がるとき、 日経過した後の株価 は、 日のうち上がった日数を 日とすると、下がった日は日だから、
となる。これは、「最初1000円持っていて、コインを投げて表が出たら10円もらい、裏が出たら10円払う、というゲームを 回続けて行い、勝った回数が 回だった場合の所持金」と同じである。
コイン投げの結果は二項分布する。
表が出る確率が 、裏が出る確率が であるコインを 回投げた時、表が 回出る確率 は、二項分布 に従い、
である。コインが偏りのないもので、であれば、表が回出る確率 は、
となる。コイン投げの二項分布の場合、確率変数 は「表が出る回数」 であり、例えばで の場合、 は下の表のようになる。
0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
|
0.03125 |
0.15625 |
0.3125 |
0.3125 |
0.15625 |
0.03125 |
これに対して今考えている株価の分布は、確率変数が株価 であり、取りうる値が950円(5回連続負け)から1050円(5連勝)までの20円刻みの値になる。表に書くと下記のようになる。
950 |
970 |
990 |
1010 |
1030 |
1050 |
|
0.03125 |
0.15625 |
0.3125 |
0.3125 |
0.15625 |
0.03125 |
これが求める株価の確率分布である。確率変数の値が整数0,1,2,…ではないのでもはや二項分布とは言えないが、各は二項分布と同じ確率である。この分布は離散分布であり、確率はとびとびの についてしか意味を持たない。
このように、と二項確率の関係を使って50日後、100日後の株価と確率を求めて利用することもできるが、扱いやすくするため、この分布を連続分布化(正規分布で近似)することを考える。