ここからは、第1章でも採用した、「株価が上がるか下がるかは五分五分、上がるときは 倍、下がるときは 倍になる(変動率は同じ)」という中立の仮定、
, (ただし )
という仮定を再度導入する。すなわち、株式投資を、
「賭け金が 1/2 の確率で 倍になり、 1/2 の確率で になる」
ゲームだと考えて、最適な賭け金比率を検討する。
毎回定率を賭ける場合に成長率を最大化するは、勝率に敏感であることはすでに述べたとおりである。それにもかかわらず 勝率 を 大雑把に 1/2 と仮定する のは「上がるか 下がるかわからないのだから五分五分」という消極的な理由 によるもので あるが、意図的に有利でも不利でもない仮定なので、受け容れて考察を進めることにする。尚 、こう仮定した場合、株価の相乗平均は とな る。
この場合、賭けの 期待値
は必ず1よりも大きくなる。期待値はプラスなので成長率をプラスにする条件は満たしている。
資産の比率を毎回賭け続けた時の 期間後の確率分布は、 1-7節 の式
に、 、 を代入して、
となる。ケリー基準でこの賭けを最大化する毎回の掛け金比率を計算すると、
となり、計算の過程でが消えてしまい、 によらずに となる。 資産が確率 1/2 で 倍か 倍になるとき、 に関係なく、常に資産の半額を賭け続けることが成長率を最大化する。